お兄ちゃんの友達[完]

遅くなんてなってないよ~と携帯灰皿にタバコを押し付け、私の近くへ来た河合さんは、ぽんぽん、と私の頭を軽く叩いて部屋の中へ入っていく。

あわてて私もそのあとに続いた。

「コウヘイ、カナコちゃん借りるから!」

リビングにいたおにいちゃんにそういうと、河合さんは私の手を握ってにっこりと笑っている。

て、手!握ってる!

とっさに何が起きたのかわからなくて、固まってしまった。

じゃあいこうか?と固まっている私の顔を覗き込んでくる河合さん。

その笑顔に顔から火が出るんじゃないかと思った。すごく熱いです、顔が!!!

耳まで真っ赤なゆでたこになっている私を見て、さらに笑う河合さんは、何も言わないおにいちゃんに背を向けて玄関へと向かう。

手をひかれる形になっている私は、あわてて近くに置いてあったカバンを持ち、おにいちゃんを振り返ると、笑顔で手を振ってくれた。

「い、いってきます!」