お兄ちゃんの友達[完]

すべての準備ができたところでリビングへ戻ると、そこには河合さんの姿はなく。

コーヒーカップを片付けるおにいちゃんだけが、キッチンにいた。

「おにいちゃん、河合さんは?」

ひょっとして私の準備が遅かったからもう出かけちゃった?

時計を見ると10時半を少し過ぎたところ。

今日のバイトは13時からだったので、まだ時間はある。

「あー、たばこじゃない?」

庭にいるんじゃないかな?と外を指すおにいちゃんの指先を見ると、庭に植えてある桜の木の下でタバコを片手に木を見上げている河合さんがいた。

リビングからウッドデッキに出ると、扉のあく音に気がついたのか河合さんと目があった。

「あの、遅くなりました・・・」

なんだかずいぶん待たせてしまったのかな?急に申し訳なくなってしまって、俯き気味になってしまう。

「じゃあ、そろそろ出掛けようか!」