お兄ちゃんの友達[完]

おにいちゃんは、河合さんを一人の男性として私に紹介したんだ。

改めて河合さんを見ると、相変わらずにこにこしながら缶ビール片手に私を見ていた。

目が合ってしまい、顔が熱くなる。

確かに、かっこいいかも。。。

でも、急に言われても、困る。。。

どうしたらいいか分からず、俯いて手元をじっと見つめていた。

「カナコちゃん、明日さ、バイトの時間まででいいんだけど駅前の不動産屋さんまで付き合ってくれない?」

空になった3本目をぐちゃっとつぶしテーブルに置いてから河合さんが私に笑いかけてくれている。

ちらっと顔を横に向けると、おにいちゃんが笑いながらうなずいてくれていた。

これは、行って来いってこと?

私、自分が河合さんをどう思っているかもよくわからないんだけど、いいの?

男の人とデートはしたことあっても、きちんとおつきあいをしたことのない私。

告白された相手と出かけるなんて、初めてのことだ。