お兄ちゃんの友達[完]

和室で二人がどんな話をしてきたのかわからないけどおにいちゃんが落ち込んでいるような悲しそうな表情は、今まで見たことのない顔だった。

「おにいちゃん、大丈夫?」

思わず声をかけてしまった。

「ああ、ごめんな、大丈夫だから」

私を見てにこりと笑うと、目の前にあった缶ビールに口をつける。

やっぱ、変だよ、おにいちゃん。

「カナコ、河合はいいやつだからさ

ウソはつかないし、お前を裏切るようなこともしないと思うよ」

私の頭に手を乗せて、ゆっくりなでてくれるおにいちゃん。

おにいちゃんが私に男の人を紹介したのは初めてのこと。

もちろん、お友達としてならたくさん紹介してもらった。

でも、今日は違うってわかる。