でも、仕方のないことなんだ。


だって俺は化け物なんだから。


手のひらにあった傷はもう消えてしまった。


また草むしりを始める。


長く伸びてしまった草を見てしばらく手入れされてないことがわかる。


最近新人も来ないからな。


「清人!手が止まっているよ!」


「あっ、わっ!ごめん」


慌てて作業を再開しようとする。


「大丈夫?ボーとしているけど」


「大丈夫!大丈夫だから!」


また草をむしり始める。


痛くてたまらない…


手には何本もの赤い線が入る。


その度また触手で縫い合わされる。


気持ち悪い…


痛い…


でも、あの頃に比べたら…










「きーよと!そろそろ掃き掃除に入ろうよ!」


「あ、うん。」


「今日、元気ないね。怖い夢でも見た?」


「…少し」


そう言うと華が優しく頭を撫でてくれる。


「頑張ったね、清人。怖いのに泣かずに頑張ったんだね。」


そう言われると胸がキューンとする。


その優しさに俺はいつも救われている。


これが、俺が欲しかったものなのかな…?

























木の上から華と清人を見下ろすものが二人。


「ふふ、可愛いなー、子供って。」


「先輩、それ少しキモいです。」


「えー?思わない?あの二人を見ていると。真面目くんだってリサくん見てたら思うでしょ?」


「俺は可哀想と思います。あと、本題に入るんですが…」


「あー、何だっけ?なんか変なのが近づいて来ているんだよね?」


「はい、しかもそれが…」






「あ、待って。あそこに誰かいるよ。」


「あ!あいつです!変なやつ!」


「じゃあ、俺は清人くん追うから真面目くんは変なやつを追って。」


「わかりました。」