ドサッ…!


俺が見たのは崩れ落ちるお父さんの姿


お母さんの手に握られているのは真っ赤になった包丁


「これでいいのよね…フフフフ…これで…これで…」


お母さんが俺に気づく


「あぁ…見てたのね?これでよかったのよ…アハハハ…あんたはお父さん好きだったもんね?こんな奴のこと…わたしより…大丈夫!大丈夫よ?こいつも一人じゃ寂しいもんね?清人?おいで?みんなで?一緒にいよう?」


ああそうか


俺のことも殺す気なんだ


そして、妹のことも


最後は?自分のことも?家族心中?


そんなの、嫌だ



じりじりと近づいてくる


俺は後ろに後ずさりするが、壁がすぐ後ろにあって逃げることができない。


「こ、来ないで…」


「ほら、おいで…?」


「い、嫌だ」


「すぐに…」


「助けて…怖いよ…!」


「楽になれるからね…?」



























ぐさっ…


喉から込み上げてくる血がまたとても気持ち悪かった。


お腹の方がとても痛かった。


声も出ない


手を伸ばすこともできない


ああ…


目の前が真っ暗に…なっ……て…