怖い…


妹を母から守るように抱きしめる。


「あんた達のせいで!!私が嫌な思いをするのよ!!」


空のガラス瓶が飛んできて俺と妹の隣で大きな音を立てて割れた。


「ひぃ!」


小さな悲鳴をあげて震える。


いつもの光景だ。


お父さんが帰ってくるまでの辛抱だ。


「あんた達が生まれてきたせいでえ!!私が!!嫌な思いをするのよぉ!!」


どがっ!!


「あうう!!」


小さな体は壁際まで飛んだ。


蹴り飛ばされた際、妹も少し飛ばされたが俺程ではない。


痛かった


蹴られたところが痛かった。


ジワっと泣きそうになる。


「う…うえ…」


すでに俺の目からは涙が出ていた。


「泣かないでよ、ムカつくんだけど。」


「うえーん…いたいよー…お父さん…」


ぐずりながら精一杯呼んだ。


「お父さん…うう…」


はやく…早くかえってきて…


「やめてよ!!そうやってあいつを呼ぶの!」


どがっ!!


また蹴られた。


鈍い痛みが小さな俺を襲う。