尊は、昔から変だった。それは、家族の事情が原因だった。尊の父親は、不良上がりのヤクザの幹部だった。母親は、尊が五歳の時に行方不明になった。兄弟全員、不良。その中で尊だけは正気な道を歩いてるように見えた。
しかし、彼には超能力があった。ものを自由自在に変形できるのだ 。
そのことに気づいたのは、七つの時だった。尊が、一番上の兄である悟と遊んでいた時尊は、お腹が空いていて目の前のボールが好物である苺だったらと考えただけだった。その瞬間ボールは、姿を変えた。
そして、もう一つ能力がある。それは、相手の考えていることがわかるのだ。
そのことに気づいたのは、2番目の兄である守が、族に入った時だった。尊は、ひどく落ち込んでいたその時不意に『母さんがいればな』と言う声が聞こえた。誰も喋っていないはずなのにしかしその声は確かに守の声だった。
兄弟も父親も尊のことを受け止めた。そして、尊は高校生になった。