「白い箱庭…。
題名そのまんまだな」



ゼロは私に一冊の分厚い本を差し出した。
古そうな白い本。



「ありがとう」


手にずっしりとくる本の重さ。




何か手掛かりがありますように。




ただそう祈り、表紙を眺める。

白い表紙にはただあの場所の名が印されているだけだった。







「どれどれー?
俺にも見せて」



身を乗り出すゼロに急かされ、捲る表紙。




高鳴る胸の鼓動。


期待に胸を膨らませ、開く1ページ目はまさかの白紙。





「……え?」


私は戸惑いながらもページを捲る…。





白紙白紙白紙白紙…。



何これ…。



「こんなことって…」



ゼロと私は顔を見合わせた。






折角ロイを助ける手掛かりに近付けると思ったのに…。




私は今どんな顔をしている?



目の前のゼロの慌てたような顔。



鼻の奥がつんとする。





そうか、私は泣いているんだ。




それほどまでに私はロイを助けることに必死だった。



ゼロの時計塔に手掛かりがないなら、私はどこを探し歩けばいいのだろう。





溢れた感情。
止まらない涙。





「泣かないでよ……ソラ」


あたふたとゼロは、私を慰めようとしてくれている。



“誕生日なのに迷惑かけちゃってごめんね…”