「――最近さ、ふと考えたんだよ。


僕自身の存在価値、理由について」





深い深い闇の底。

弱々しい君が目を醒ます。






「どうして―?」



ロイは首を大きく横に振る。





「だってどう考えても変だろう?

僕は自分では他の人たちと何も変わらないんだと思ってる。でも、だったらどうして僕だけこんな境遇なの?



こんな厳重に鍵まで掛けられて、囚われて…。
僕は何もしてないのにどうして…」






不安定な心。


ロイの悩みは私には到底理解できないもの。



ロイはがむしゃらに自由を望んでいたわけではない。
普通を求めていたんだ。







「私の目に映るロイは、私たちと何も変わらないよ。


考えすぎだって。ロイは普通に私の友達だもん。

忌まれる存在だなんて言わないでよ」






“ほら、この繋いだ手から伝わる体温…。私と同じ”


私はロイの手をまた、きゅっと握った。





「――ありがとう。ソラにはいつも元気を貰ってばかりだね。


今日の夜は不思議と楽しいよ。
人と関わるってこういうことなのかな…」







ぽつり暗い庭に響いて消えた。



吸い込まれそうな闇は無。

私とロイとを照らす小さな星屑。


ただ一つの光。
ただ一つの希望。






「―――そう、人と関わることは素敵なことだよ…。

ロイがこの鳥籠を出られたら、私がロイを案内してあげる。
一緒に世界を見て回ろう」