手を繋いだまま、私たちは星のない夜空を見上げる。
ロイはこの空に星の幻想を見ているのだろうか。
包帯の下のその瞳の輝きを私は知りたい。
「ねぇ…ロイ」
「ん?」
振り返ったロイの儚げなシルエット。
鳥籠からぶら下がる星屑に照らされて映る。
「――目の包帯、外してみる気はないの?」
暫く沈黙。
長いのか短いのか、わからぬまま時間だけが経過する。
ロイはただ私のいる位置に顔を向け、口をぎゅっと結び、一人考えていた。
聞かない方がよかったのかもしれない。
ロイは今まで世界を見ることなく、豊かな想像を膨らませて生きてきたに違いない。
ロイの頭に浮かぶ私の姿すら幻想。
所詮、ロイが作り出した想像なのだ。
真実を知ることは恐ろしいことだから、ロイはそれを拒む。
しかしいつか私が鳥籠の鍵を見つけだし、ロイが自由になった時……包帯を外さなければならないだろう。
「ロイ…じゃあ約束しよう?
私がいつかロイを鳥籠から出してあげる。
だからその時、ロイも目の包帯を外して…」
ロイの手から震えが伝わる。
恐怖?
それとも歓喜?
その答えを私が知ることはない。
決めるのはロイ、他でもない彼自身だから。
「――うん、約束だね」
いつものロイ。
包帯の下の瞳は脅える子羊の様。
それでもいつか、一緒に世界を見渡そう。
美しい場所がある。
温かい人がいる。
想像の世界よりもずっと素敵だよ。
この世界は……。

