瀏児が葵にカードを向けると彼女は無表情でカードを選び、そして照らし合わせて同じカードを見つけたのかカードを二枚捨てました。
 そのまま葵はカードを紅に向けると再び紅は酷く迷い始めてなかなか決まらなかった。

 「紅、真剣ですね。」
 「葵が冷静すぎるんだよ!」
 「考えが読まれては勝負になりませんから。」
 「なんかムカつくな。」

 葵の返答に苛立ちを覚えながら紅がカードを引くと彼女は一安心しながらカードを捨て瀏児にカードを向けました。

 「はい、瀏児の番だよ。さあ、来い!」
 「じゃあこれにするよ。」

 瀏児は苦笑いしながらカードを引き手札から同じカードを捨て葵にカードを向けました。

 「何だかんだと言って瀏児兄さんも落ち着いていますね。」
 「そうかな?」
 「はい。これを。」

 葵がカードを引くとそのまま紅に手札を向けました。

 「はい、紅の番です。」
 「(ババは引きたくないよ…。)これだ!」

 紅が引くと苦虫を噛んだような表情になりそのまま瀏児にカードを向けました。

 「はい、どうぞ。」
 「アハハ…じゃあこれかな。」

 瀏児がカードを引くと紅は今にも泣いてしまいそうな顔をしたのです。瀏児は同じカードを捨て残り一枚になったカードを葵に向けました。

 「瀏児兄さん強いですね。」
 「そういう葵もあがりじゃないのか?」
 「さあ、どうでしょうか。」
 
 葵が瀏児からカードを引くと手札から同じカードを捨て最後のカードを紅に向け彼女が引いてゲームが終わった。

 「ズルだ!イカサマだ!」

 紅は自分が負けたのが納得いかず怒り始め瀏児達は呆れながら苦笑いしたのですが翠だけは突っ込んだのです。

 「紅は負けたんだから素直に認めなさいよね!」
 「ヤダ!」
 「わがまま言わないの!敗けは敗けなんだから認めなさいよ!」
 「ヤダ!絶対認めない!」

 紅と翠の言い争いに苦笑いをする瀏児は葵と共に二人をなだめたのです。落ち着いた二人を見た瀏児達は笑ったのでした。
 その日の夜は四人で遊び尽くし何だかんだで紅、葵と翠は結局瀏児の部屋で眠ってしまったのでした。

 (アハハ…三人とも寝ちゃったな、困ったな。)

 三人の寝顔を見ると瀏児は部屋を出てリビングで寝ることにしたのです。だが、寝る前に彼は自分の母のとこに行き紅達三人の編入について話にいきました。
 母の部屋の前に来た瀏児は部屋の外から母を呼び出しリビングに戻り、暫くすると母はリビングにやって来ました。

 「瀏児、こんな時間に何?」
 「紅達の編入についてだよ。」
 「その件なら大丈夫よ、彼女達は明日から登校よ。」
 「そう。」
 「わかったら早く部屋で寝なさい。」
 「そうしたいんだけどさっきまでトランプしていたんだが遊び疲れてそのままあの三人俺の部屋で寝ちゃったんだよ。だから俺はここで寝るよ。」
 「わかったわ。ちょっと待ってなさい、毛布持ってきてあげるからそれかけて寝なさい。」

 母は一旦自室に戻り毛布を取りに行き、暫くすると戻ってきて毛布を瀏児に渡して再び母は自室に戻りました。