部屋の入り口で立ったまま動けずにいるお兄さんが視界に入ったのか、虚ろな目で話し掛けた。 「心配しなさんな、ゆっくり養生すりゃいい」 その声はとても優しく響いた。 そして布団に静かに近付くと、お祖母ちゃんの手を取る。 わたしとお兄さんに手を握られて微笑んだ。 「あったかい…大きな手だねえ……安心するよ」 そう言うと、安心したように、ふうっ、と眠るように息を引き取った。 「ばあちゃん!!」 ―――泣き崩れるしか出来なかった。