信者が1人、入ってきた。 「教祖様。恐縮ですがお時間です」 「……わかった」 牢が開かれる。 そこから入ってきた彼は僕の拘束を外したかと思うと、引きずるようにして僕を移動させる。 僕も彼に促されるままに足を運んだ。 僕の今の所有者は彼だ。 僕は誰かの物。ずっとそうやって生きてきた。 物は所有者に従うしかない。意思も自由も権利も、何もかもを持たない。