「ねぇそこ、私の席なんだけど。」

降ってきた声に驚いて見上げると、栗色の髪を腰まで伸ばした女の子が立っていた。

−なんてきれいな栗色の髪なんだろう。。それにストレートだなんて羨ましいな。

そんなことを思っていたら、また声をかけられた。

「聞いてる？そこ、私の席。」

「あ！あぁ、ごめんなさい。てっきり勘違いをしたみたいで。
　私、市ノ瀬永遠です。よろしく。」

「私は一ノ宮夏鈴。本、読みたいの。ひとりにしてくれる？」


そう言って彼女はひとり、席についた。


「感じ悪いー！あの子、関わらないほうがいいよ。悪い噂の塊みたいな子らしいから。私、東条りりか。仲良くしようね。」

驚いている私にそう話しかけてきたのは、いかにもお金持ちのお嬢様って感じの子だった。

「よろしく、トワって読んでね！」



ガタ、ガタタ。
「席つけ〜！自己紹介は後にしろ〜。」

私は、正しい自分の席についた。