地平線の広がる荒野に乾いた風が吹いた。
水を乞うこのさら地にぽつりぽつりと生えるのは、つまらなさそうに生きる背の低いサボテンばかり。
照りつけるような日差しの中、今日もまたいつもと変わらぬ昼が過ぎようとしていた。
ここは北アメリカ大陸。サンフランシスコ。
かつては人々が賑わい、路面電車と坂道で有名な都市であった場所。数年前に突如巨大な核爆弾が某国によって投下され、そこにあったサンフランシスコの人々の築いた街、土地、文化、空気までもが消し炭と化した。
坂が多く、サンフランシスコ湾が近くにあったこの地域も、今では海は蒸発し干ばつに悩まされるような乾いたさら地とへと成り果ててしまった。
「今日も・・・暑いな・・・。」
滴る汗を着古した薄地のシャツで拭う。
材木を組んだだけで造ったような古い小屋にこの荒野でひとり孤独に暮らす青年がいた。
彼の名はジョニー。父親は南極に旅立ったきり消息不明になり、母親は数年前の核爆弾の餌食となった。爆弾が落ちた瞬間を彼は今でも忘れない。
時のジョニーは8歳、父親からの大きなプレゼントに胸を躍らせ、母と知り合いのおじさんで楽しく会話をして過ごしていた。
プレゼントはボックス型の簡易和式トイレット。父が向こうで使っていたのだろう。南極の過酷な寒さを連想させる、凍りついて駄目になった換気扇。便器には流されずそのままになったソレ(大)があった。
強烈な臭いが立ち込めるトイレであったが、ジョニーがおそるおそる中に入ったとき、ちょうど核爆弾が迫っていた。
ピカッ。
一瞬の出来事に、ジョニーは何が起こったのかわからなかった。それもそうだろう。なぜなら、爆弾が落ちた瞬間と、ジョニーが母親のイタズラで臭い個室トイレに閉じ込められた瞬間が、全く同一だったのだ。流石は南極で鍛えられたトイレ。奇跡的に爆弾の光の熱に耐えられたが、ジョニーが外に出たとき、母とおじさんの姿はそこになかった。それと同時に見慣れた街並み、道路、自分の家やまわりの家、全てが無くなっていた。
ただ荒れ果てた地に、ジョニーと便所だけがたたずんでいたのだった。
水を乞うこのさら地にぽつりぽつりと生えるのは、つまらなさそうに生きる背の低いサボテンばかり。
照りつけるような日差しの中、今日もまたいつもと変わらぬ昼が過ぎようとしていた。
ここは北アメリカ大陸。サンフランシスコ。
かつては人々が賑わい、路面電車と坂道で有名な都市であった場所。数年前に突如巨大な核爆弾が某国によって投下され、そこにあったサンフランシスコの人々の築いた街、土地、文化、空気までもが消し炭と化した。
坂が多く、サンフランシスコ湾が近くにあったこの地域も、今では海は蒸発し干ばつに悩まされるような乾いたさら地とへと成り果ててしまった。
「今日も・・・暑いな・・・。」
滴る汗を着古した薄地のシャツで拭う。
材木を組んだだけで造ったような古い小屋にこの荒野でひとり孤独に暮らす青年がいた。
彼の名はジョニー。父親は南極に旅立ったきり消息不明になり、母親は数年前の核爆弾の餌食となった。爆弾が落ちた瞬間を彼は今でも忘れない。
時のジョニーは8歳、父親からの大きなプレゼントに胸を躍らせ、母と知り合いのおじさんで楽しく会話をして過ごしていた。
プレゼントはボックス型の簡易和式トイレット。父が向こうで使っていたのだろう。南極の過酷な寒さを連想させる、凍りついて駄目になった換気扇。便器には流されずそのままになったソレ(大)があった。
強烈な臭いが立ち込めるトイレであったが、ジョニーがおそるおそる中に入ったとき、ちょうど核爆弾が迫っていた。
ピカッ。
一瞬の出来事に、ジョニーは何が起こったのかわからなかった。それもそうだろう。なぜなら、爆弾が落ちた瞬間と、ジョニーが母親のイタズラで臭い個室トイレに閉じ込められた瞬間が、全く同一だったのだ。流石は南極で鍛えられたトイレ。奇跡的に爆弾の光の熱に耐えられたが、ジョニーが外に出たとき、母とおじさんの姿はそこになかった。それと同時に見慣れた街並み、道路、自分の家やまわりの家、全てが無くなっていた。
ただ荒れ果てた地に、ジョニーと便所だけがたたずんでいたのだった。
