あれから。

先生の研究室に連れてこられて。

無言で眺められています。

いや、睨まれています。

『先生?帰ってもいいですか?』

うっ、睨みが増した。

冷え冷えとした空気に、緊張感でいっぱいの室内。

「…なんで来なかった?」

一切目を反らさず話し出す先生。

『…忙しかったんです。』

「嘘だな。中庭で暇そうにしてるのも見た。」

下を向いたまま答えたから、先生がどんな顔してるのか、今はわからない。

「…飽きたか?」

『…はい。』

こんな一言がこんなに苦しい。

言いたくなかった。

会うと嘘つかなきゃいけないから、会わなかったのに。

「…そうか……って、騙されると思ったか?」

『えっ。』

先生の言葉に思わず顔を上げる。

「嘘が下手なんだよ。」

『だって、いい加減迷惑でしょう?だからっ。』

「ああ、迷惑だな。」

途中で続かなくなった私に、先生の冷たい声。