――お前、キモいんだよ!

――何で学校にきてるんだよ!

封じ込めたはずの記憶が頭の中でフラッシュバックする。

「――やめて…!」

綾美は両手で耳を塞いで、フラフラとさまよっていた。

――ほら、土下座して謝れよ

「――ごめん、なさ…」

――聞こえねーんだよ!

足が痛いのはここまで走ってきたからだろうか?

それとも、蹴られたからだろうか?

どうして痛いのか、自分でもよくわからない。

フラフラと千鳥足でその場に倒れこんだら、
「――綾美ちゃん!」

見知ったその声に、綾美は耳を塞いでいた両手を離した。

「綾美ちゃん、大丈夫!?」

息を切らした小夜子が自分の顔を覗き込んでいた。

「――小夜、子ちゃん…」

小夜子の顔を見た瞬間、綾美の目から涙がこぼれ落ちた。