「あ、あの…大丈夫、ですか…？」

小夜子が恐る恐る彼女に声をかけたら、
「――やっぱり、あたしのことを恨んでるよね…」

泣きそうな声で、彼女が呟いた。

「えっ？」

小夜子はわからなくて、思わず聞き返した。

恨んでいるって、綾美がどうして彼女を恨む必要があるのだろうか？

そう思っていたら、彼女の目から涙がこぼれ落ちた。

「えっ、あの…」

小夜子の声は聞こえていないと言うように、彼女はその場に座り込んで肩を震わせて泣き出した。

「あ、あの…」

突然泣き出した彼女に、小夜子はどうすればいいのかわからない。

それよりも、ここから立ち去った綾美のことが心配だ。

何か事件に巻き込まれていなければいいのだが…。

そう思って小夜子も立ち去ろうとしたのだが、
「――ごめんね…」

座り込んで泣いている彼女が呟いた。