「だけど、友達を選ぶってそこまで言うものなのかな…」

小夜子がそう呟いたら、
「あら、何の話をしているの?」

横から声が聞こえたので視線を向けると、澄香だった。

「あっ…」

隣に澄香がいたことに一瞬だけ驚いたが、同時に自分は彼女と一緒にラーメン屋で昼ご飯を食べていたことを思い出した。

小夜子はしょう油ラーメン、澄香は激辛ラーメンを食べていた。

『ハッピーライフ』は商業ビルを借りているので、社員食堂と言うものがないのだ。

「い、いえ、何でもありません…」

小夜子は首を横に振ると、2人でシェアするために頼んだジャンボ餃子に箸を伸ばした。

餃子を口に入れ、何事もなかったかのようにラーメンをすする小夜子だが、
「仕事の不満なら聞いてあげようか?」

澄香が声をかけてきたので、小夜子はラーメンを吹き出しそうになった。

「ふ、不満なんてありませんよ!

今の仕事は前と違ってとても充実してて、楽しいです!」

小夜子は首を横に振りながら返事をした。