「それじゃ、この話は終わりね。

早く食べて会社に戻りましょう」

幸代は笑顔でそう話しかけると、ミラノサンドを頬張った。

「あっ、はい…」

小夜子も返事をすると、ミラノサンドをかじった。

楽しい食事のはずなのに、小夜子の心の中は複雑だった。

(社長は浜島さんのことを許せないって言ってるけど…でも、何で今頃になって浜島さんは電話をしてきたんだろう?)

中学時代のことを脅して、由紀恵からお金を巻きあげようと言う魂胆だろうか?

そんなドラマみたいなことがある訳がないと、小夜子は今思った説を否定した。

自分の中で渦巻いている複雑な気持ちを消すように、小夜子はミラノサンドを頬張った。

(友達は選ぶもの、か…)

洋服やメニューを選ぶように、友達にも選ぶ必要と言うものがあるのかも知れない。

事実、由紀恵は身を持って経験したのだ。

「ごちそうさまでした」

食事を終えた小夜子だったが、心の中の複雑な気持ちは消えてくれなかった。