幸代に言われた必要事項を書いて彼女に書類の確認をしてもらうと、小夜子はそれを手に由紀恵がいる社長室に顔を出した。

コンコンと社長室のドアをたたくと、
「どうぞ」

中から返事が聞こえた。

「失礼します」

小夜子は声をかけると、ドアを開けた。

「光浦です、おはようございます」

「おはよう、光浦さん」

デスクに座って仕事をしている由紀恵に小夜子は歩み寄ると、
「残業申請の書類です」

そう言って由紀恵に渡した。

「はい、ご苦労様です」

由紀恵は小夜子の手から書類を受け取った。

「21時まで残業した、と言うことですね。

わかりました」

由紀恵は首を縦に振ってうなずくと、書類にハンコを押した。