その頃、『ハッピーライフ』の社長室には由紀恵と幸代がいた。

「あっ、光浦さんからメールがきました。

これから望月さんと夕飯を食べに行ってゲーセンに行くんだそうです、要は残業ですね」

スマートフォンを見ながら幸代が言った。

「そう、わかったわ。

彼女、ちゃんと仕事をしているみたいね」

由紀恵はフフッと笑った。

「明日、光浦さんが出社したら残業申請の書類の書き方を教えて私に提出して」

そう言った由紀恵に、
「はい、わかりました」

幸代は首を縦に振って笑顔で返事をした。

デスクのうえのデジタル時計に視線を向けると、もうすぐで7時になろうとしていた。

夏と言うこともあってか、外はまだ明るかった。

「私たちもそろそろ帰りましょうか」

由紀恵はそう言うと、椅子から腰をあげた。

「じゃあ、みんなにキリのいいところで帰るように伝えてきます」

幸代は失礼しますと言って社長室を後にした。