「そ、そうなんだ…」

そう言った綾美に、小夜子は返事をすることしかできなかった。

「ねえ、早くご飯を食べに行こうよー。

ご飯食べ終わったら、ゲーセンに行ってプリクラ撮りたい!」

グイグイと小夜子の腕を引っ張りながら言っている綾美に、
「わ、わかった…。

わかったから腕を引っ張らないで…」

小夜子は苦笑いすることしかできなかった。

「お昼はマックだったから、夜はサイゼリアに行こうよ!

わたし、ピザ食べたい!」

「はいはい」

綾美に腕を引っ張られながら、小夜子はカラオケ店の前を後にした。

(この街にきたばかりだから友達がいないって言っていたけど、前の街に住んでいた友達はどうなんだろう?

ちゃんといるのかな?)

笑顔で駆け出している綾美の様子を見ながら、小夜子は心の中で呟いた。