「今日は川越さんは結婚式の友人代行、光浦さんは望月さんと一緒に遊びに行くそうです」

報告をした幸代に、
「そう」

由紀恵は返事をすると、書類に視線を落そうとした…が、それをさえぎるようにデスクのうえの電話が鳴り出した。

「まただわ…」

由紀恵はやれやれと息を吐くと、幸代に視線を向けた。

幸代は返事をするように首を縦に振ってうなずくと、受話器を手に持った。

「はい、『ハッピーライフ』でございます。

社長ですか?

申し訳ございません、社長は席を外しておりまして…。

時間ですか?

すみません、守秘義務と言うものがございまして部外者に情報を教えると言う訳にはいかないんですよ」

いつものように応対をする幸代から視線を外すと、手元の書類のチェックに戻った。