「まだ明るいな」

時刻は午後4時を過ぎているが、空はまだ明るい。

小夜子はうーんと両腕を挙げた後、ビルの中へと戻って行った。


同じ頃、由紀恵は社長室にいた。

「はい、お疲れ様」

幸代がそう言ってデスクにアイスティーを置いた。

「どうも、ありがとう」

由紀恵はお礼を言うと、ストローでアイスティーをすすった。

「光浦さんに望月さんのことを任せて大丈夫ですか?」

そう声をかけてきた幸代に、
「大丈夫よ、あの子ならきっとできるわ。

わからないことや困ったことがあったら相談しなさいと念も押したから」

由紀恵はクスッと笑いながら言った。

デスクのうえの電話が鳴り出したので、幸代は受話器を手に取った。

「はい、こちら『ハッピーライフ』です。

すみません、社長は今席を外していまして…」

応対をしている幸代を見ながら、由紀恵はやれやれと息を吐いた。