【新】レンタルフレンド～お友達をお貸しします～

綾美の送り迎えは小夜子がすることになった。

彼女と一緒にエレベーターを待っていたら、
「あの…光浦さん、でしたよね？」

綾美に声をかけられた。

「はい」

小夜子が返事をしたら、
「よろしくお願いします」

綾美がそう言って頭を下げた。

「こちらこそ、まだ入ったばかりでわからないことがあるけどよろしくお願いします」

小夜子も言うと、頭を下げた。

「その…わたしたち、“友達”になったので…」

綾美はそこで言葉を区切ると、顔色をうかがうように小夜子を見つめた。

「光浦さんのことを名前で呼んでいいですか？

…あっ、光浦さんがよかったらの話ですけども」

綾美は唇を閉じた。

「名前ですか…」

（まあ、わたしは望月さんの“友達”な訳だからなあ…。

名字で呼びあうのは変か）

小夜子はそう考えると、
「いいですよ」
と、返事をした。