(本当に、そう言うのが好きなのね…)

少しも目をそらさなかった小夜子に、由紀恵は心の中で呟いた。

小夜子は困っている人を見ると放って置けないうえに、少しでも力になろうと手を貸している。

由紀恵はデスクから腰をあげると、小夜子に歩み寄った。

「――わかったわ」

そう言って、小夜子の手から高子からの手紙を受け取った。

小夜子はその様子を見つめていた。

深呼吸をすると、由紀恵は封筒を破って手紙を取り出した。

折りたたまれた何枚かの便せんを、由紀恵は開いた。

『美作 由紀恵様』

手紙はそう始まっていた。

チラリと小夜子に視線を向けると、彼女は自分のことを見つめていた。

由紀恵は手紙に視線を戻すと、読み始めた。