由紀恵の表情が変わったのがわかった。

何でそんなものを持っているんだとでも言うように、小夜子のことを見つめている。

「社長」

そんな由紀恵に向かって、小夜子は呼んだ。

「わたしは、クビにしてくれても構いません」

そう言った小夜子に、由紀恵は驚いて目を見開いた。

「でも、いつまでも過去から逃げていると言うのはよくないと思うんです。

過去を振り返って、それからどうするかどうかを決めると言うのも手じゃないかと思うんです。

米村さんと仲良くするのか、それともやめるのか――それは、社長次第です。

わたしは、社長に米村さんからの手紙を届けにきただけですから。

彼女からの手紙を読んで、今後を決めるのは社長です」

由紀恵の目を見て、小夜子は言った。