連休が終わって出社した小夜子が真っ先に向かったところは、社長室だった。

由紀恵から借りたスウェットを返すために、もう1つの目的を果たすために、小夜子は社長室を訪ねたのだ。

社長室のドアの前に立つと、小夜子は深呼吸をした。

コンコン

「どうぞ」

中から由紀恵の声が聞こえたので、
「失礼します」

小夜子は声をかけると、ドアを開けた。

「あら、光浦さん」

「おはようございます、先日お借りしたスウェットを返しにきました」

小夜子はスウェットが入っている紙袋を見せた。

「ありがとうございます」

由紀恵がお礼を言ったので、
「それから、ですけど…」

小夜子は紙袋から1枚の封筒を取り出した。

「それは…?」

物珍しそうに封筒を指差して聞いてきた由紀恵に、
「米村さんから手紙をお預かりしています」

小夜子は答えた。