コインロッカーから預けていた荷物を取り出すと、宿泊先のホテルへと足を向かわせた。

部屋に入ると、小夜子はカバンから先ほど金子から受け取った封筒を取り出した。

先ほどの泣きながら悔んでいた金子の様子に、小夜子の胸が痛くなった。

「ちゃんと読んでくれるといいんだけどな…」

小夜子は呟くと、カバンの中に封筒を入れた。

その代わりにスマートフォンを取り出すと、電話帳から高子の名前を出した。

この間、由紀恵と話す機会を作ると言う理由で彼女とお互いの電話番号を交換したのだ。

カバンの中にある封筒に視線を向けると、高子の電話番号をタップした。

数回の機械音が鳴った後で、
「はい、米村です」

高子が電話に出た。

「もしもし、米村さんですか?

光浦です」

小夜子は高子と話を始めた。