小夜子は2日間の休みを利用して、とある場所を訪れていた。

「――ここか…」

新幹線と電車を乗り継いで到着したところは、K県にある片田舎の町だった。

駅のコインロッカーにボストンバックを預けると、小夜子はカバンからスマートフォンを取り出した。

マップアプリを起動させると、数日前に興信所で調べてきた住所をそこに打ち込んだ。

小夜子はそれを頼りに、目的地へと足を向かわせた。

マップアプリを利用して到着したところは、築40年だと言う木造アパートだった。

興信所の職員によると、家賃は3万円で風呂とトイレは共同なのだそうだ。

玄関に足を踏み入れると、
「うわーっ、何か出てきそうだな…」

中を見た小夜子は呟いた。

外は明るいのに、中は夜なのかと思うくらいに薄暗かった。

窓は全て閉め切っているからなのか、日の光すらも入っていない。