「そう言えば、昨日は酔っ払った金子さんが泣き叫びながら暴れていたとおっしゃっていましたね?」

そう言って話を切り出した由紀恵に、小夜子は顔をあげた。

「はい、そうです」

首を縦に振ってうなずいた小夜子に、
「これは私の憶測にしか過ぎないのですが…もしかしたら、金子さんは友達がいなかったのではないかと思うんです」
と、由紀恵が言った。

「友達がいなかったって、どう言うことなんですか?」

そのことに驚きながら、小夜子は聞いた。

「金子さんが今回のことを依頼するために会社を訪ねてきた時、彼女はこう言ったんです。

“自分は上京して大学に入ってから友達ができた”、と」

「そうなんですか?」

「ええ、上京する前に18年間を過ごした地元には友達がいなかった…と」

そう言った由紀恵に、
「いじめられていたから友達がいなかったと言うことなんですか?」

小夜子は聞いた。