翌朝、小夜子は由紀恵手作りの朝食をごちそうになっていた。

「ありがとうございます」

飲み終えたコンソメスープのカップをテーブルのうえに置くと、小夜子はお礼を言った。

「お口にあったようで安心しました」

由紀恵は紅茶を飲みながら言った。

「身につけているスウェットは私服に着替えたら、適当な袋に入れてドアノブにかけておいてください」

そう言った由紀恵に、
「あっ…スウェットは、ちゃんと洗って返します」

小夜子は言い返した。

家に泊めてもらったうえに着替えと風呂も貸してくれて、さらには朝食までごちそうになった。

由紀恵からそこまでしてもらったのに対して、自分は何もしないと言うのは何だか申し訳がなかった。

「…では、後日に会社でお渡しすると言うことでよろしいですか?」

そう聞いてきた由紀恵に、
「お願いします」

小夜子はそう返事をすると、頭を下げた。