【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~

彼女によって会話が止められたことに、安里はどうすることもできなかった。

昔は“アンちゃん”と呼んでくれたのに、あの出来事があって以来は安里のことを“金子さん”と名字で呼んでいた。

「あ、そうなんだ…。

ごめんね、金子さん」

アコは申し訳なさそうに謝った。

「あ、えっと…」

「『ガクセン』の話なら、あたしたちでしようよ!

あたしたちも今、『ガクセン』の話をしていたところだったんだー!」

「ホント!?

するするー!」

沙織とアコは楽しそうに笑いあいながら、グループへと行った。

その瞬間、安里は沙織と目があった。

沙織は自分に向かってバカにするように笑った後、彼女たちとの会話に花を咲かせた。

(何で、アンリには友達ができないの…?)

あちこちで繰り広げられるグループ同士の会話に、安里は参加することができなかった。