【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~

「お母さん、痛いよ…うわあああんっ!」

強く手を引っ張られる痛みに、安里はとうとう泣き出してしまった。

声をあげて泣いている安里に母親は足を止めると、安里と同じ目線にしゃがみ込んだ。

「安里ちゃん、ごめんね」

母親は謝ると、
「もう泥んこ遊びはしないでね」
と、安里に言った。

それに対して安里は泣き止むと、
「何で?

何で泥んこ遊びしちゃいけないの?」

母親に聞いた。

「アンリ、エミコちゃんと遊びたい!

エミコちゃんと泥んこ遊びしたい!」

だだをこねる安里に、
「安里ちゃん、これはあなたのためなの」
と、母親が言った。

「安里ちゃんにもしものことがあると、パパとママは悲しいの。

だからもう泥んこ遊びはしないでね、約束よ」

そう言って小指を差し出してきた母親に、
「うん…」

安里は首を縦に振ってうなずくと、母親と小指を絡ませて指切りげんまんをした。