母親に連れられて向かった先は、先ほどまで一緒に遊んでいたエミコの家だった。

「ちょっと、一体どう言うつもりなのよ!」

ものすごい剣幕で怒鳴る母親に、まだ幼かった安里はビクッと震えた。

そこへ、何事かと言うような顔でエミコの母親が自宅から飛び出してきた。

「あの、どうかしましたか…?」

ただごとではない母親の様子に戸惑いながら聞いた彼女に、
「ウチの安里に泥遊びをさせるって、一体どう言うつもりなの!?」

母親は怒鳴り返した。

「安里にもしものことがあったらどうするつもりなの!?

こんなにも服を汚してくれて、どう責任を取るつもりなの!?」

「ご、ごめんなさい…」

早口でまくし立てるようにして怒鳴っている母親に、エミコの母親は呟くように謝っていた。

それから母親は彼女に向かって説教をすると、
「もうウチの安里と遊ばないでちょうだい!」

そう言うと、先ほどと同じように安里の手を引いてその場から離れた。