ハッとなって、安里は目を開けて飛び起きた。

自分が今いる場所は、1人暮らしをしている我が家だった。

「――夢か…」

あの頃とは違い、好きなものに囲まれているその部屋を見回した安里はホッと胸をなで下ろした。

汗だくでドレスに汗のシミができているのは、先ほど見た夢のせいだ。

「メイクしたまま、寝ちゃったな…」

そう呟いて立ちあがった安里は、部屋が散らかっていることに気づいた。

酔っ払って暴れたのだろうか…?

あちこちに物が散乱している部屋の中からメイク落としのコットンを拾うと、ふたを開けて1枚取り出した。

そう言えば、友人代行としてやってきた光浦小夜子の姿がいないことに気づいた。

「どこに行っちゃったのかしら…?」

メイクを落とすと、汗で汚れたドレスを脱ぎ捨てた。

シャワーを浴びるためにバスルームへと向かいながら、安里は先ほど見た夢を振り返った。

――上京するまでの18年間を過ごした故郷での、暗く寂しい日々だった。