「――ホント、呆れるくらいに純粋だわ…」

由紀恵は呟くと、息を吐いた。

お風呂に入ってスウェットに着替えた小夜子は、先ほど案内したゲストルームでもう寝ているだろう。

時計に視線を向けると、後少しで11時になろうとしていた。

明日の朝は隣に住んでいる依頼者の金子安里に、小夜子と一緒に行って事情を説明すると言う用事がある。

「――ネガティブモンスター、か…」

安里が友人代行を依頼するために会社を訪ねた時にも思ったが、どうやら彼女の学生時代はあまり恵まれたものではなかったのかも知れない。

友達は上京して大学に入ってからできたと説明していたところを見ると、それまで友達ができたことは1回もなかったみたいだ。

自分と同じようにいじめられていたのか、それとも何か別の理由なのか?

考えるのはこれくらいにしようと由紀恵は言い聞かせると、バスルームへと足を向かわせた。