「嫌っていたから彼女は私を裏切って、浜島と一緒になっていじめをしたんです」

そう言った由紀恵に、
「わたしは、そんな風に思えないです…」

小夜子は納得ができないようだ。

と言うよりも、信じたくないと言った様子である。

(一体、この子はどれだけ人がいいのかしら?)

浜島の件もそうだったが、小夜子は人を疑うと言うことを知らないんだなと由紀恵は思った。

人を信じることができるから、自分をいじめていた浜島と高子を“そんな風に思えない”と断言することができるのだろう。

小夜子のその様子から、学生時代は平和に過ごしてきたんだと思った。

「光浦さん、もう夜も遅いですからこの話は終わりにしましょう。

明日の朝に隣に住んでいる金子さんのところに一緒に行って事情を説明してあげますので、もう早くお風呂に入って寝ましょう」

由紀恵はそう言って話を切りあげると、まだ何か言いたそうな小夜子から離れた。

 * * *