小夜子がこれ以上詮索をしなかったことに、由紀恵はホッと胸をなで下ろした。

「何が“謝りたい”よ…」

由紀恵は呟くと、グイッとミネラルウォーターを飲んだ。

ペットボトルが空っぽになると、それをゴミ袋に放り投げた。

転校する前の中学時代を思い出すと、今でも苦しかった。

自分に関係している悪口を言われたうえに、物を隠されて汚された。

友達だと思っていた同級生たちは日が経つにつれて自分から離れて行き、浜島側に回って一緒に自分をいじめた。

その中から真っ先に自分から離れたのが、高子だった。

母親同士の仲がよくて赤ちゃんの頃からの幼なじみだった彼女が自分から離れて、浜島と一緒になっていじめてきたショックは今でも覚えている。

「――絶対に許せない…!」

その当時のショックと怒りがよみがえって、由紀恵は呟いた。