由紀恵は許さない、顔も見たくないと言っていた彼女の存在を小夜子は放って置くことができなかった。

「きっと後悔しながら生きてきたんだろうな…」

去年の夏に関わった綾美とみち子の関係を小夜子は振り返った。

幼少の頃からの幼なじみだった2人の関係は、みち子が綾美いじめのリーダーだった水野に脅されたことがきっかけで変わってしまった。

みち子は親友を裏切り、いじめたことを深く後悔していた。

自分が彼女の代わりになればよかったと、泣きながら言っていた。

それと同じように、高子も由紀恵を裏切っていじめたことを深く後悔していたのだ。

「社長は会いたくない、顔も見たくないって言っていたけど…」

自分はいじめをしたこともなければされたこともないが…もし自分が高子の立場だったら、由紀恵をいじめた罪の重さに耐えられないだろう。

彼女はいじめたことを悔み続けて、由紀恵に謝罪しようと決意をして会いにきたのだ。

「――何とか、力になれないかな…?」

小夜子は呟くと、目を閉じた。