「きゃっ…!?」

クッションにティッシュ箱、バックといろいろな物をつかんで投げてくるので、小夜子は避けるのに必死だ。

「ちょっ、ちょっと、落ち着きましょうよ!

何の話をしているんですか!?」

小夜子は持っているバックでガードをしながら、安里に話しかけた。

「みんなと暗くなるまで、泥んこになるまで遊びたかった!

駄菓子屋に行きたかった!

お祭りにもプールにも行きたかった!

マクドナルドでハンバーガーを食べたかった!

赤い靴なんかより、セーラームーンの靴が欲しかった!

お父さんが選んだ服なんかより、自分が選んだ服が欲しかった!」

安里は大きな声で泣き叫びながら物を投げて暴れた。

「“私のため”って何よ!?

“私のため”だって言いながら、あんたたちは私をそばに置いて縛りつけたいだけじゃないの!

私のためを思っているんだったら、私の言うことを聞いてくれたっていいじゃなの!」

そこまで叫んで気が済んだのか、安里はその場に座り込んだ。