テレビはNHKしか見せてもらえない。

ドラマやバラエティー番組はおろか、アニメすらも見せてくれなかった。

駄菓子は禁止、おやつは母親が素材からこだわって作った手作りのお菓子だけだった。

外食やファーストフードは禁止、ファミレスや回転寿司にも連れて行ってくれたことがない。

おもちゃも木製のものだけで、光ったり電子音が鳴ったりするものは禁止。

泥んこ遊びは汚れるからダメ禁止。

洋服は自分が選んだものではなく、父親が選んだデザインが古いダサいものばかりだった。

下着も母親が駅前で買ってきた洋服店の5枚セットで1000円の年配の女性が愛用しているようなダサいものだった。

(今はそんなことないもん。

かわいい洋服におしゃれな下着、素敵なアクセサリーに美味しい食べ物に飲み物といろいろなものが手に入るもん)

津田に愛されながら、安里はやっと手に入れた幸せな生活を感じた。