「エヘヘ、わかる?」

安里は明るい茶色に染めた長い髪を耳にかけて、ピンクゴールドの小ぶりなピアスを見せた。

「かわいかったから、パパに頼んで買ってもらっちゃった♪」

笑いながらそう言った安里に、
「いいなー、あたしも欲しいなー」

美紀はうらやましそうに言った。

「ウチは親が厳しいからピアスなんてできないんだよねー。

耳につけたいんだったらイヤリングで我慢しろだなんて、ひどいと思わなーい?」

ふてくされたように言った美紀の耳には花の形をした小さなイヤリングがあった。

「そのイヤリング、かわいいと思うよ」

「ありがとう」

イヤリングを褒めてくれた安里に、美紀は照れくさそうに笑った。

(イヤリングで我慢しろ…って、私のところよりもずーっとマシだわ。

こっちはピアスはおろか、イヤリングだって許してくれなかったんだから)

昔の苦い思い出が頭の中でフラッシュバックしそうになったが、安里はそれをかき消した。