結婚式の帰り道。

「よかったですね」

そう言って声をかけたのは成美だった。

「また引き出物が増えちゃったわ」

手に持っている紙袋に、澄香はやれやれと息を吐いた。

「幸せな結婚生活が続くといいですね」

そう言った小夜子に、
「サヨコ先輩の言う通りっすよー。

マキも白川ちゃんが幸せになることを祈ってるっすー」

マキヨが同意をするように言った。

「本当に大切なものは今まで生きてきた時間よりもこれから過ごす長い人生、と言う訳ですね。

そのことに気づいた2人は、きっと幸せな家庭を築けますよ」

しみじみと言った成美に、小夜子と澄香とマキヨは同意をするように首を縦に振ってうなずいた。

空を見あげると、もうすっかり夏だった。

(――もう1年か…)

小夜子は空を見ながら、心の中で呟いた。

自分が『ハッピーライフ』に入社してから、あっと言う間に1年が経っていた。