次の週から小夜子は働くことになった。

初出勤の朝、小夜子は目覚まし時計よりも5分早く起きた。

目覚まし時計よりも早く起きることができたのは久しぶりだ。

小夜子はフンフンと鼻歌を歌いながらベッドから起きあがると、顔を洗うために自室を後にした。

洗面所で顔を洗った後、自室に戻ってナチュラルメイクを顔に施した。

服は私服でいいと言うことなので、小夜子はクローゼットの中から半袖のオフショルダーシャツと黒のガウチョパンツを取り出した。

パジャマを脱いでそれらを身につけると、サイドで髪の毛をフィッシュボーンに編み込んで黒のリボンをつけた。

「うん、完璧」

鏡に映っている自分に向かって小夜子は首を縦に振ってうなずいた。

ドレスや着物などの衣装は会社で貸し出しをしているため、急に結婚式の友人代理を頼まれても心配はないと幸代は言っていた。

家族と一緒に母が作ってくれた朝ご飯を食べて歯みがきを済ませると、
「行ってきまーす!」

足にスニーカーを履くと、小夜子は家を後にした。