「たとえその場はどうにかなったとしても、過去はどうにもなりません。

逃げても過去は追いかけてきます。

だから、これを機会に全てを打ち明けてください。

各務原さんにウソをついて、騙していたことを謝ってください」

「ちょっと、光浦さん…」

澄香が止めに入ってきたが、小夜子はそれを無視した。

「白川さん、これ以上隠し続けたとしてもどこかでバレます。

そのためにも、全てを打ち明けるべきです。

いつまで彼氏――夫になる人に隠し事を続けるんですか?

逃げていることと一緒です」

愛香はうつむいているだけで何も言わない。

「きっと各務原さんは受け入れてくれます。

2年もつきあって、妹さんから擁護してくれたんですよね?

大丈夫です、ちゃんと受け入れてくれます」

そう言った小夜子に、
「――はい…」

呟くように、愛香は返事をした。