「ほら、やっぱり!

だからお兄ちゃん、今すぐにでもあの人と縁を切って…」

琴子の言葉をさえぎるように、愛香はリビングに足を踏み入れた。

「あっ…」

自分の登場に、琴子が驚いたのがわかった。

「あ、愛香…」

各務原も絶句している。

リビングにいるのは各務原と琴子だけだった。

2人の父親と母親はこの場から席を外しているみたいだ。

「な、何だいたなら言ってくれればいいのに…」

愛香の登場に各務原は気まずそうな顔をしている。

琴子は申し訳ないと言った様子で、目を伏せた。

「父さんと母さんが一緒に見ようって言って、俺の子供の頃のアルバムを探しているんだ…って、愛香?」

各務原を無視すると、愛香はカバンを手に持った。