各務原の母親に案内されるようにリビングへ通されると、彼の父親と妹がすでにいた。

「お父さん、愛香さんがきてくれたよ」

ソファーに座っている父親に母親が声をかけた。

「やあ、どうも」

同じく目尻を下げて笑いかけてきた父親に、
「初めまして、白川愛香です」

愛香は先ほどと同じ自己紹介をした後、頭を下げた。

チラリと妹の方に視線を向けたとたん、彼女は訝しむように愛香を見つめてきた。

腰近くまである黒髪のストレートロングヘアーが印象的な美女だと、愛香は思った。

自分とは違う気の強そうな雰囲気に後退りしそうになったが、
「妹の琴子」

各務原が彼女を紹介した。

愛香は琴子に向かって笑いかけると、
「初めまして、こんにちは」
と、言った。

「…初めまして」

琴子は愛香を一瞥すると、呟くように言った。